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「信頼する仲間じゃとか…そげな事どうでもえぇじゃろ!
これ以上辰馬の悪口を言うんじゃなかッッ!」



いきなり扉を勢い良く開け入ってきた陸奥に銀時達は驚き、皆視線を集中させる。
最初は驚きによる視線だったが、次第にそれは睨みへと変わっていった。何故そんなことを言うのかと。



「何で?
信頼もしてない、仲間でもねぇ奴を何で陸奥と辰馬は簡単に助けられンの?」


「人助けるンに…理由なんて必要なか。
ましてや、同じ戦友じゃ
見逃す方が信じられんぜよ」



銀時が然も当たり前かのように聞けば、陸奥は怒りに堪えるかのように拳を握りしめながら答える。
ここで怒鳴り散らしてしまえば、それこそ仲間云々の問題ではなくなってしまう。



「浅野司……奴が我らの仲間になる前の事は知っておろう。
奴はスパイだ。幕府からの使いのな」


浅野司は元は幕府の人間だ。
それが急に攘夷に参加したいと幕府を抜け、銀時達に願い出た。そんな人間をどうして信頼できるのか。
今だって監視するために小太郎のもとに置いていると言うのに。



『カルヤだってそう。誇りを汚したのよ。
我が鬼聖羅族の王である私の父を殺し、私に媚を売る最低な奴なのよ?
それを今更……』


「信じられるはずがねェ」


そう言った彼らの表情は苦痛に堪えるようなものだった。今この場にいる奴らしか信じられないとでも言うかのように。




「自分が信じようとしないのなら…周りは一切おんしらを信用せんぜよ。
それでも良いんか!!?
ずっと…これから起こる攘夷戦争も…
誰も信じる事なく4人だけでやっていくがか!?」




「「あぁ」」




彼らのその頷きに陸奥の怒りは頂点に達し、怒りに任せ腕を振り上げ彼らを引っ叩いた。
何故、わからない。
何故自分たちから離れていってしまうのか…
追いつきたくとも追いつけない。
必死に走って手を伸ばしているのに…見えるのは大きな背中だけだった。
その大きな背中すら、遠すぎて小さく見えてしまうほど。



「もう、止めんしゃい…
もう……これ以上離れないでくれッッ……」




"怖い"と彼女の言葉、そして彼女の纏う雰囲気からひしひしと伝わってくる。

これ以上仲間から、自分達から離れないでほしい。
彼女はただそう願っていたのに、彼らは離れていこうとする。















「怖いんじゃ……」











怖くて怖くて仕方がない。
いつか…本当に失ってしまうんじゃないか、って……





怖くて怖くて仕方ないんだ









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あきゅろす。
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